「時効」という言葉は、皆さんよくご存じかと思います。
しかし、時効の種類まで理解している人は、それほど多くはないはず?
そこで、今回は、知っているようで、意外に分からない、時効の種類とそれぞれの意味について説明します。
時効の種類は4種類ある
時効は、法律で定められており、①取得時効(しゅとくじこう)②消滅時効(しょうめつじこう)、③公訴時効(こうそじこう)、④刑の時効、の4種類があります。
取得時効と消滅時効は、民事に関するものです。主に、民法で定められています。
公訴時効と刑の時効は、刑事に関するものです。主に、刑法と刑事訴訟法で定められています。
以下、それぞれの時効の意味について、説明します。
民事事件の時効
取得時効
取得時効とは、一定の期間が経過することによって権利を取得できる制度をいいます。
取得時効が問題になる場面としては、土地の所有権が一般的です。例えば、隣地との境界線があいまいなため、隣の家の塀がはみ出て自分の土地に侵入しているのを気付かないで長期間放置していると、侵入部分の土地について時効取得されてしまう可能性があります。
・時効取得できる権利の例:所有権、地上権、永小作権、地役権、質権、不動産賃借権
・時効取得できない権利の例:留置権、先取特権、抵当権、取消権、解除権
消滅時効
消滅時効とは、一定の期間権利が行使されないことによって、その権利が消滅する制度をいいます。
一時期、テレビCMなどで過払金の時効が迫ってます!などという過払金回収業者の煽りCMがたくさん流れていましたが、あれは、この消滅時効のことです。消滅時効が完成すると、相手方に権利を主張できなくなります。
・時効消滅する権利の例:債権、所有権以外の財産権(地上権、永小作権、地役権)
・時効消滅しない権利の例:所有権、占有権、留置権、先取特権、質権、抵当権。
刑事事件の時効
公訴時効
公訴時効とは、一定の期間の経過により、公訴提起が出来なくなる制度をいいます。
公訴提起とは、検察官が、特定の刑事事件について裁判所に対し裁判するように求めることを言います。
昭和の刑事ドラマで、時効ギリギリの犯人逮捕の場面がありましたが、あれは、この公訴時効が問題となっているのです。
ちなみに殺人罪については、公訴時効はありません。
刑の時効
刑の時効とは、刑事裁判で刑の言い渡しを受けた後、一定の期間の経過によって、刑の執行が免除される制度をいいます。
判決が下ったのに、しばらくの間刑が執行されないと、判決で言い渡された刑を受けなくてよくなります。ちなみに、死刑については、刑の時効はありません。
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