みなさんは、携帯電話の契約や、公共放送の契約、インターネット上の動画配信サイトとの契約等をする際に、契約内容をきちんと確認していますか?
おそらく、きちんと確認していない人が大半ではないでしょうか?
私たちが、日常生活で、契約をする機会は頻繁にありますが、多くの人は、金額以外の条件をあまり確認しません。しかし、そのことが後に契約トラブルを生じる原因になっています。
実は、契約は一度成立すると、簡単に変更できませんので最初が肝心なんです。
後になって、こんなはずではなかった、そんな条件で契約するつもりはなかったのにとならないために、契約内容は、よく確認しなければなりません。
そこで、今回は、契約書と約款の重要性について弁護士が解説しますので、今後の参考にしてください。
1 日常生活で契約する場面
私たちが、日常生活で契約する場面は、たくさんあります。携帯電話の購入及び通信契約、インターネット上の動画配信サイトとの利用契約、アパートの賃貸借契約、自動車ローンの金銭消費貸借契約、自宅の建築やリフォームをする場合の請負契約、勤務会社との間の雇用契約…等。
上記に挙げた場合に、契約書を作成することがほとんどです。
インターネット上での契約は、書面のやりとりはないですが、ネット上で、必ず契約内容の確認画面が出てきて、同意ボタンに☑をしなければ、契約が出来ないようになっています。
そして、契約書は、相手方が用意した書面があり、あなたは、その書面に署名・押印するだけの場合がほとんどです。あなたの方から、細かい契約条件を提示することは殆どないでしょうし、それに応じる企業もありません。
それは、契約の相手方が継続的な業務を行う企業だからです。
もしあなたが、相手方と契約内容を交渉できる場面があるとすれば、それは料金の割引についてだけではないでしょうか。
2 契約の際の注意点
契約書にサインを交わした時点で、契約内容についてお互いに合意したことになり、簡単に解除、撤回等は出来ません。契約は、条件等を一方的に相手方が提示してきた場合でも、それに同意をすれば、お互いを拘束することになります。
この点、企業側が提示する契約条件に、企業側が不利になるようなことは基本的に書かれていません。
もちろん、法律で、会社側には、消費者側に一方的に不利な条件を提示してはいけないというルールは定められていますので、過度の心配をする必要はありません。会社側を拘束する法律はいくつもありますが、典型的なものは「消費者契約法」と言う法律です。
悪質な詐欺業者は、消費者契約法に違反した販売を行っているケースが大半です。ですので、消費者契約法に違反する契約については、契約を取り消したり、無効を主張することもできます。
しかし、一度支払ってしまったお金を取り戻すのは、中々困難なのが現実です。場合によっては、悪質業者は、行方をくらます場合もありますし、倒産する場合もあります。こうなってしまうと、現実的な被害の回復は大変難しくなってしまいます。
ですので、契約する場合は、契約内容を必ず良く内容を確認してから署名・押印するようにしましょう。意味が分からない部分があれば、遠慮なく相手方に問い合わせましょう。相手方は、あらかじめ定型書面を用意しているのですから、分かり易く説明できて当然です。
もし相手方が納得のいかない説明や不自然な説明しか出来ないのであれば、あせらず、契約をするのはいったん保留にして、持ち帰りましょう。
後日、契約書面をもって、弁護士等の専門家に相談に行くのもよいです。
3 約款について
また、契約書と一緒に約款(やっかん)を渡されることもあります。保険契約をする際には、保険約款を必ず提示しているかと思います。
約款は、契約書よりも、非常に細かく内容が書かれており、とても全て読む気力などありませんよね。
しかし、約款の中にも、契約解除できる場合、違約金の額、免責条項、損害賠償に関する事項など結構重要な事が書かれています。
約款も、契約と同じく当事者間に拘束力をもつ場合があります(民法548条の2)。
したがって、約款についても、できるだけ、内容を確認して契約したほうがよいのです。
民法548条の2 (定型約款の合意)
定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
2 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。
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