同時廃止事件と管財事件とは?【自己破産は2種類ある】

みなさん、自己破産には、同時廃止事件と管財事件の2種類があるのをご存じですか?

この2種類の違いは何か分かりますか?

おそらく多くの読者は知らないと思いますので、解説します。

目次

1 管財事件とは? 

 管財事件(かんざいじけん)とは、破産者に 一定額以上の財産がある場合に、その財産を換金して債権者に配当する破産手続をいいます。

2 同時廃止事件とは? 

 同時廃止事件(どうじはいしじけん)とは、破産者に換金して債権者に配当する財産がない場合に、管財人を選任することなく、 破産手続開始決定と同時に,破産手続廃止決定を行う手続をいいます(破産法216条1項)。

 自己破産は、本来、破産者の財産を換金処分して債権者に配当する手続ですので、管財事件が原則で、同時廃止事件は例外的な扱いとなっています。

3 管財人は誰がなるのか?管財人の役割は?報酬は?

 管財人は、裁判所が選任します(破産法74条1項)。基本的には、弁護士が選任されています。

 管財人に弁護士以外の者が選任された例を、私は知りません。

 管財人は、破産者の財産を調査管理し、換金処分して、債権者に配当する役目を担っています。

 管財人の報酬は、実務上、最低20万円となっています。破産者の財産の額や、事件の難易によって、管財人の報酬は増額します。

 法人の破産の場合、1000万円以上の報酬になることもあるとか。

 この報酬は、破産者自身が負担します。ですので、破産申立を弁護士に依頼する費用の他に、管財人の報酬分も用意できないと、破産手続きを進めることは出来ません。

4 管財事件と同時廃止事件の振り分け方について

 管財事件と同時廃止事件の振り分けの基準は、裁判所ごとに異なります。また、裁判所の判断で、ある時期から変更になることもあります。

例:水戸地裁の場合

 【管財事件になる場合】

 以下の①~⑥のいずれか1つでも該当する場合、管財事件になります。

① 現金33万円以上ある場合

② 資産として20万円以上の物がある場合

 資産とは、預貯金、積立金、有価証券、貸付金・売掛金、自動車・バイク、相続財産、未払い報酬金・賃金、事業設備・在庫、貴金属、美術品等、不動産、退職金請求権、過払金など。

③ 資産調査が必要な場合

④ 法人、法人代表者の場合

⑤ 個人事業主の場合

⑥ 免責調査を経ることが必要な場合

 このように、換金して配当する財産がある場合には、原則として、管財事件になり管財人が債権者に分配することになります。

5 自由財産があるから大丈夫

 もっとも、上記財産がある場合に、すべて換金して債権者に配当してしまうと、破産者は、生活できなくなってしまいます。

 それでは、自己破産をして生活を再建する意味がなくなってしまいます。

 そこで、破産者の一部の財産は、自由財産として、破産者のものとして除外されています(破産法34条)。

 現金であれば99万円以下は、破産者の財産として認められています(破産法34条3項1号)。

 ですので、管財事件になった場合でも、破産者は、一定の財産を確保して社会生活を維持することは出来ますのでご安心ください。

 自由財産の詳しい内容については、以下の別記事を参考にしてください。

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根拠条文:破産法34条、同74条、同216条

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