被害者側に、落ち度がある場合、加害者側との過失の割合に応じて損害額が減額されます。
これを過失相殺といいます。
交通事故で、相手方保険会社から、過失割合が20対80だから、8割分しか修理代金を支払えないなどと一方的に言われ、納得いかないと言って、弁護士に相談に来る方がいます。
そこで、今回は、過失相殺についてその考え方・根拠、対応方法などについて解説します。
過失相殺の趣旨
交通事故に限らず、相手方に対して、損害賠償請求を求める事件については、過失相殺が問題となることがあります。過失相殺は、事故の原因が100%相手方にある場合には、問題になりません。
被害者にも、一定の落ち度があり、それが事故の一因になっている場合に、100%加害者の責任とするのは不公平です。そこで、過失相殺は、当事者間の公平を図る観点から認められているのです。
過失割合の判断基準
交通事故の場合、判例タイムズ社が発行している、別冊判例タイムズ38の「民事訴訟法における過失相殺率の認定基準」という本が、過失割合の判断基準として実務で定着しています。
裁判所も上記本を、過失相殺の一般的な判断基準として採用しています。
上記本には、歩行者と自動車の事故、自動車同士の事故、横断歩道での事故、信号のある交差点での事故等、発生した事故の状況に応じた基準が掲載されています。
過失相殺の法律上の根拠
交通事故の過失相殺の根拠は、民法722条2項です。
民法722条2項は、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定しています。
相手方と過失割合についてもめている場合
インターネットや書籍で調べて、過失割合について勉強して、相手方の保険会社と交渉するのもよいですが、一度、弁護士の法律相談を受けるのをお勧めします。
あなたの加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、無料で法律相談を受けることが出来ます。
過失割合は、 別冊判例タイムズ38の「民事訴訟法における過失相殺率の認定基準」 を入手すれば、最低限の武器は揃えたことになります。しかし、上記本の内容を正確に理解して使いこなすには、それなりの経験と知識が必要になります。交通事故を扱っている弁護士であれば、上記本を知らない人はいないですから、事故の状況を説明すれば、妥当な過失割合を助言してくれるでしょう。
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