ある日、突然、裁判所から、自宅にあなた宛ての封筒が届きました。
内容を確認したところ、あなたが借金をしていた貸金業者から滞納している借金を請求する内容でした。書面の冒頭には支払督促申立書と書いてあります。
初めてのことなので、あなたはどうすればいいかわかりません。
今後どういう事態になるのでしょうか?また、どういう対応をするのがよいでしょうか?
そこで、今回は、支払督促が届いた場合の対処法について、弁護士が解説いたします。
【今後予想される事態】
支払督促(しはらいとくそく)とは、債権者が債務者に対して、金銭等の一定の種類の給付請求を、裁判所を通じて行う手続です。
支払督促は、内容証明郵便等の請求の場合と異なり、放置し続けた場合、請求内容が確定し、最終的には、預金差押え、給料差押え等の強制執行をされることになります。
【とるべき対応について】
支払督促に対して、あなたが取れる方法は以下の2つしかありません。
1つは、異議申立てを行うこと、もう1つは、何もしないでそのまま放置することです。
異議申し立ての方法・効果
支払督促は、書面が届いてから、2週間以内に、簡易裁判所に対し異議申立てを行うことが出来ます。
なお、異議申立てをする機会は2回あります。
支払督促の書面が送達された場面と、仮執行宣言の申立ての書面が送達された場面の2回です。
【異議申立てのやり方】 異議申立ては、書面又は口頭でできます。書面は、郵送でも行えます。
【異議申立先】 簡易裁判所
【異議申立ての効果】 異議申立てをすると、通常の裁判手続に移行します。
異議申し立てのやり方や、送付先、異議申し立て用紙などは、支払督促の封筒にまとめて入っていますので、自分自身で、異議申し立てを簡単に行うことが出来ます。
ただし、異議申し立て後の、裁判手続きについては、弁護士などの専門家を頼まず自分でやりきることが出来るかは、個人差があります。
電話での異議の申し出は、「口頭」に当たりません。口頭での異議の申し立ては、裁判所書記官の面前で行う必要があります(民訴規則1条2項)。
1 請求内容に争いがある場合
請求金額が実際の借金額よりも多すぎる、そもそも借りた覚えがない業者から請求が来ているなどの場合には、必ず、異議申立てを行ってください。
放置しておくと、事実と異なる金額で債務(借金)が確定してしまいます。
2 請求金額に争いはないけれども、一括払いではなく、分割払いの話合いをしたい場合
この場合も、異議申立を行う必要があります。
支払督促手続には、債権者と話合う機会はありませんので、債権者と支払い方法について話し合いをしたい場合、裁判手続きの中で行う必要があります。
3 請求内容に争いはなく、かつ返済する意思も能力も全くないような場合
このような場合、決して好ましいことではないですが、放置でもやむをえません。
裁判手続に移行したところで、和解による解決も期待できませんので、結論が出るまでの時間が引き延ばされる効果しかありません。
このような状況の場合は、速やかに自己破産手続を検討したほうがよいでしょう。
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