目次
【結論】
遺言書の効力は有効で、遺産分割協議よりも優先されます。
【解説】
遺産分割協議をした後になって、遺言書が発見されるケースは少なくありません。
このように遺産分割協議が成立した後に、遺言書が発見された場合、すでになされた遺産分割協議は、原則無効となります。
なぜならば、相続財産は、本来は被相続人の所有であるので、何よりも被相続人の意思が尊重されるべきだからです。
とはいえ、遺言書の内容と異なる内容の遺産分割協議をすることは、相続人・受遺者全員の同意があれば、可能であると考えられています。この点について、法律に明文の規定はありません。
これは、遺産分割協議をする前に、遺言書の存在がすでに明らかであった場合についても同様です。
そこで、本件事例でも、遺言書の内容を相続人全員で確認してもなお、すでに行った遺産分割協議の内容通りでよいと、相続人・受遺者全員が同意すれば、例外的に遺産分割協議の効力は有効となります。
遺言書は、被相続人が相続人間の遺産相続の争いを避けるために作成するものですから、遺言書が被相続人の死後すぐに発見されないことは、相続人間でトラブルの原因になり本末転倒です。
したがって、遺言書を信頼のおける人に託すか、遺言書を作成したことを親族に周知しておくか、あるいは公正証書遺言を作成しておくことが望ましいでしょう。
※受遺者とは、相続人以外の人で、遺言によって相続財産を受け取る人です。
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