公正証書遺言以外の遺言書は、相続人だけで開封し、その内容を確認してはいけない決まりなの知っててましたか?
今回は、遺言書の検認手続きについて、解説します。
遺言書の検認とは
公正証書遺言以外の遺言は、被相続人の死後、すなわち相続開始後に、「検認(けんにん)」の手続をする必要があります。
1 検認の方法
検認手続きの方法は、以下の通りです。
申立人 ー誰が行うの?
検認の手続は、遺言書の保管者が行います。
遺言書の保管者がいなかった場合、遺言書を発見した相続人が検認の手続きを行います。
申立先 ーどこに?
遺言者の最後の住所地の管轄する家庭裁判所に行います。
管轄裁判所は、裁判所のホームページで調べることが出来ます。
期限 ーいつまでに?
「遅滞なく」行う必要があります。合理的な理由がない限り、すぐに行うという意味です。
申し立て費用 ーいくらかかるの?
- 収入印紙:800円(遺言書1通)
- 予納郵券:裁判所により異なります。
申立書式
家庭裁判所の窓口もしくはインターネットで申立書式を入手出来ます。
申立てに必要な書類
【共通】
1. 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
2. 相続人全員の戸籍謄本
3. 【遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合】
その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
第二順位相続人【相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)の場合】
4. 【遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母と祖父))で死亡している方がいる場合】
その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
第三順位相続人【相続人が不存在の場合、遺言者の配偶者のみの場合、又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)の場合】
4. 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
5. 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
6. 【遺言者の兄弟姉妹で死亡している方がいる場合】
その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍改製原戸籍)謄本
7. 【代襲者としてのおいめいで死亡している方がいる場合】
そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
遺言書が封印されている場合
保管者や発見者は、検認手続をする前に、勝手に開封してはいけません!違反すると5万円以下の過料の制裁を受ける可能性があります。
なお、勝手に開封してしまった場合でも、遺言書の効力には何ら影響ありません。
2 検認の目的と効果
検認は、主に、遺言書の存在を相続人全員に知らせる目的と、遺言書の偽造・変造を防いで、その保存を確実にする目的で行われます。
3 よくある誤解
相談者によくある誤解ですが、検認の手続は、遺言書の有効・無効を判断する手続ではありません。
検認手続によって、遺言書の有効性について、裁判所のお墨付きが与えられたわけではありません。
したがって、遺言書の内容や有効性について争いがある場合は、検認の手続とは別に、遺言無効確認の訴え等を提起して争う必要があります。
根拠条文:民法1004条 (遺言書の検認)
- 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
- 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
- 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
民法1005条(過料)
前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
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