いつでも気軽に作成できる自筆証書遺言。
しかし、作成が簡単そうに思える自筆証書遺言には、法律で作成に関するルールがあるのを知っていましたか?
実は、書き方を間違えると、せっかく書いた遺言が無効になってしまうのです。
そういった失敗をしないように、自筆証書遺言を作る前に、必ず知っておきたい知識があります。
これから解説する作成に関する知識を押さえておけば、せっかく作った遺言が意味のないものになることを防ぐことが出来ます。
そこで、今回は、自筆証書遺言の作成する際の注意点について、弁護士が解説します。
自筆証書遺言の有効要件
自筆証書遺言は、これから述べる4つの条件を必ず満たす必要があります。
この4つの条件を守らないと、遺言は無効となってしまいます。
民法968条で自筆証書遺言の要件は規定されています。
1 全文を自分で書く(自筆)。
パソコン等で書くのはダメです。全て、自筆で書いてください。
なお、財産目録については、自筆する必要はありません。この場合、財産目録の全てのページに署名押印する必要があります(民法968条2項)。
また、1つの用紙に、複数の人が遺言することは出来ません(民法975条)。必ず、1つの用紙には、1人で遺言を作成してください。
たとえ夫婦であっても、連名で遺言を作成するということは法律上禁止されています。違反した場合、遺言は無効となります。
民法975条(共同遺言の禁止)
遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
2 日付を記載する。
遺言書を作成した日を記載してください。
遺言書を作成した日は、複数遺言書を作成した場合の優先順位を決めるうえでも、重要なものです。
例:令和3年6月2日
例:2021年6月2日
3 署名する。
自分の名前を記載してください。
例:甲野太郎
4 押印する。
押印をしてください。
認印でもOKですが、実印の方がいいでしょう。
民法968条(自筆証書遺言)
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
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