弁護士に裁判の依頼をして、事件が終了しましました。
さて、報酬の支払いの段階になって、依頼者と弁護士との間で報酬で揉める。
弁護士の間では割とよく聞く話です。
そこで今回は、弁護士報酬で揉める典型的な事例を解説します。あなたが、弁護士依頼する必要が生じた際の参考にしてください!
揉める典型例ー訴えられた側の依頼
裁判で相手から訴えられた側(被告)の依頼を受けた場合
依頼者は、相手から、不貞行為による600万円の慰謝料請求の訴訟を起こされてています。
依頼者は、弁護士に相談に行き、着手金30万円を払って訴訟代理の依頼をしました。
依頼者は、「ホテルには行ったが、不貞行為はしていない」等と不貞行為の事実を争いました。
しかし、裁判所は依頼者(被告)の言い分を認めず、不貞行為の事実を認めた上で、当事者に和解案を提示しました。
結果、不貞行為の事実を認め、150万円の慰謝料を支払う内容で和解をしました。
事件が終了した後、弁護士から、請求額600万円から和解金150万円を引いた額450万円の1割の45万円(消費税別)を報酬として請求されました。
依頼者は、「不貞行為を認めて150万円も相手に支払っているのだから、何も成功していないじゃないか。何で、45万円も支払わなければならないのか。すでに着手金30万円を払っている。」と弁護士に訴えました。
弁護士からは「委任契約書には、成功報酬として、減額分の1割と記載してあります。報酬金の値引きは出来かねます。」とのつれない回答。
特別の事情のない限り、法的には、依頼者の言い分は通りませんが、依頼者は納得いきません。
依頼者としては、これまでの弁護内容についても、弁護士は手を抜いていたとか、自分の言い分を主張していないから負けたのだとか、不満爆発です。
依頼者の不満がおさまらず、弁護士会にまで苦情を言いに行く場合もあります。
弁護士報酬で揉めてしまった原因
依頼者側の問題
弁護士報酬について、弁護士は依頼者に対し、契約する際にきちんと説明することになっています。
しかし、裁判で相手から訴えられている人は、相手から訴訟を起こされて、「これから自分は、どうなってしまうのだろう?」という不安や恐怖心を抱え、精神的に余裕のない状態で、藁にもすがる思いで弁護士の所に相談に行きます。
そのため、頭の中が不安や恐怖心で一杯になっている相談者は、弁護士との契約の際に、報酬などの細かい条件をあまり深く理解しないまま、契約書に署名押印していることがあります。
そして、裁判が終了した段階で、報酬が発生することを知り、驚いてこのようなトラブルになるのです。
弁護士側の問題
他方で、キチンと契約の際に報酬の説明をしないで、事件の依頼をうけてしまう弁護士も一定数います。どちらかと言うとベテランの弁護士に多いですね。
昔は、委任契約書を作成しないで、口約束で弁護士と契約をしていた時代があったそうです。口約束なので、事件が終了した段階で、報酬の説明を言った言わないの争いになります。
仮に、あなたが、契約書を作成しないで、口約束で弁護士と契約してトラブルになった場合は、弁護士会に相談することもできます。
今は、口約束では後々トラブルになるので、弁護士は倫理研修で、契約書を必ず作成しましょうと指導されています。ですので、経験年数の浅い弁護士の方が、契約書をきちんと作成している傾向にあります。
押さえておきたい教訓
このようなトラブルを防ぐためには、以下の点を押さえておくと良いでしょう!
- 成功報酬は、裁判で負けても(完全勝利しなくても)発生する
- 成功報酬は、自分が相手にお金を支払う側の場合でも発生する
- 弁護士との委任契約書は、きちんと内容を確認して納得してから署名押印すべし
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