今回は、傷害事件、交通事故、不貞行為等の損害賠償請求に関し、被害者との間で示談をする際の注意点について、解説いたします。
この点を押さえておかないと、折角、相手方との間で話合いがついたと思ったのに、後から紛争が蒸し返されるリスクがありますので必見です。
示談をする際に注意すべき4つのこと
1 示談書を作成する
まず、示談をする場合には、必ず示談書を作成することが重要です。
確かに、法的には口頭での示談も有効なのですが、後から蒸し返されたりする危険がありますので、示談成立した証拠を残す意味で、書面で示談をすることが重要です。
2 示談書は2通作成する
次に、示談書は同じものを2通作成し、当事者双方が、1通ずつ保管しましょう。
原本を1通作成して、写しを当事者の一方が保管するのでも構いませんが、後日トラブルが発生した場合に備えるならば、原本を2通作成しそれぞれが保管する方がよいでしょう。
証拠としての価値は、写しよりも原本の方が強いからです。
3 事件を特定する
示談書には、どの事件に関する示談なのか分かるように、当事者、日時、場所、行為態様等を書いて事件を特定しましょう。
後日、相手から「あれは別の事件の件での示談で、こっちの件は、まだ終わっていない。」等とトラブルになるのを防ぐために事件を特定するのが良いでしょう。
4 清算条項を入れる
示談書には、必ず清算条項(せいさんじょうこう)を入れましょう。
清算条項とは、当該示談契約の内容で全て解決して終わりにする目的で記載するものです。
例えば、「 甲と乙は、本件に関し、本合意書に定めるもののほか、甲と乙の間に何らの債権債務がないことを相互に確認する。 」などという文言を入れます。
「本件に関し」と入れる理由は、当事者間に本件事件以外の貸し借り等がある場合に、事件と無関係の貸し借りもすべて清算してしまうのを防止するためです。
したがって、例えば、交通事故の事案のように被害者と加害者が初対面で、本件事故以外に一切接点がなく、何ら貸し借りもないような場合には、「本件に関し」は入れないでも構いません。
清算条項を入れ忘れると、後日、被害者側から更なる請求が来る恐れがあります。
示談する前に専門家に相談しましょう
一度、示談が成立すると法的な効力が発生してしまいますので、簡単に撤回をすることは出来ません。
示談書のような重要な権利関係に関する法律文書を作成する際には、本来は、弁護士等の法律の専門家の助言を得て作成するのが好ましいです。
しかし、そのような余裕がない場合でも、上記の注意点を守れば、大失敗を防ぐことは出来るでしょう。
示談する際の注意点まとめ
- 示談をする際は、必ず示談書を作成すべし
- 示談書は2通作成すべき
- 事件を特定すべし
- 示談書には、清算条項を入れるべし
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