法律相談したいけど、弁護士にこんなこと相談してよいの?
弁護士事務所の無料法律相談には、何か裏があるのでは?
まだまだ敷居が高いのが一般的な弁護士に対するイメージですね。
そこで、今回は、弁護士の法律相談について、分かり易く解説し、効果的な使い方などについてアドバイスします。
弁護士の法律相談の内容
1 法律相談する意味
普段法律に馴染みのない人は、自分の置かれている状況が法律的にみてどういう状態なのか分かりません。それを明らかにするのが、法律相談する意味です。
例えるのであれば、弁護士に相談することは、病院で健康診断するのと似ています。
熱が出たり、体調が悪いと感じた場合、まず病院に行ってお医者さんに診断してもらって、病気ではないか確かめますよね。そして、病気である場合は、入通院して治療を行います。
これと同じように、自分の抱えている経済的・社会的な不安や悩みが病気(事件)にまでなっているかを弁護士に確認してもらうのが、法律相談する意味です。
法律相談をして、事件にまでなっていない、あるいは、自分で解決できる問題と分かれば、その後は安心して過ごすことが出来ます。
逆に、事件になっており何らかの対応が必要な場合には、弁護士に依頼することで問題を解決する選択を検討しなくてはなりません。
2 法律相談を受ける前に準備しておくと良いこと
無料相談の場合、法律事務所や、実施する機関により異なりますが、おおよそ30分から1時間以内のことが多いです。
また、有料相談の場合、価格の相場は30分5000円です。
したがって、限られた時間を有効に使うためにも、あらかじめ準備をして法律相談にのぞむと良いです。準備しておくと良いことは、以下を参考にしてください。
- 契約のトラブルの場合、契約書や領収書、メモ書きなどの証拠を揃えて持参しましょう。
- 録音や録画があれば、事件の内容に深く関係があると思う部分について、相談の際すぐに提示できるように準備しましょう。スマホなどで撮影した画像がある場合、可能であれば印刷して書面にしておくと良いでしょう。
- 事件の概要について、時系列にA4用紙1,2枚程度で、まとめておくと良いでしょう。なお、4枚以上になると分量が多くなり、弁護士がメモを読み込むのに時間を費やすことになりかえって効率が悪くなります。
- 弁護士に聞きたいことをリスト化しておくと良いでしょう。いざ、弁護士に会うと緊張して聞きたかったことを忘れてしまうことがあります。
3 法律相談の限界
法律相談を受けて、深刻な状態に陥っていると分かった際に、弁護士に依頼する選択をせずに、どういう対処をすればよいか色々と助言を求める人がいます。
可能な限り自力で、問題に対処したいと考える気持ちは分かります。
しかし、残念ながらその具体的な対処法を求めるのに法律相談では限界があります。
相談者から求められれば、弁護士は、裁判のやり方や、訴状や契約書など法律文書の書き方を一応助言はしますが、アドバイスされた通りに実行できる人はほとんどいません。
普段法律に馴染みのない方が、法律を適切に駆使して問題に対処するのは困難です。特に、紛争の相手方に弁護士が就いている場合は、なおさらです。
例えるならば、明らかに紛争になっている事案について、自力で何とかしようとするのは、お医者さんから手術が必要な状態と言われているのに、手術をしないで民間療法で治そうとするのに似ています。
4 まとめ
以上の通りですので、法律相談は、健康診断のようなものと考えるのが良いです。
自分の病名を知ることは出来ますが、手術して治す能力は獲得できません。
弁護士の法律相談を1~2時間受けただけで、法律知識や紛争解決能力が飛躍的に向上することはあまり期待できません。
法律相談を断られる場合
1 断られる理由
法テラスを利用して無料相談に来る方や、市役所の無料相談に来る方で、弁護士事務所に無料相談の申し込みの電話をしたら、無料相談を断られたという話を聞くことがあります。
どういう理由で断られたか聞くと、「うちではそういう案件は扱っていない。」や「今弁護士が忙しく相談を受ける空きがない。」という理由がほとんどです。
これは、本当の理由だと思いますか?
そもそも、ホームページ上で取扱業務や無料相談の看板を掲げて、24時間電話メールでの受付をしながら、その案件はやってない?忙しくて相談を受けることが出来ない?
断った弁護士の本音は、分かりませんが、相談者の相談内容を聞くと、門前払いされた理由はおおよそ検討は付きます。
- 相談者の相談内容に事件性がなく、仕事の依頼につながらないと判断された。
- 相談者の相談内容が事件性はあるけれども、受任しても割にあわない仕事と判断された。
- 電話での口調や内容から、相談者がクレーマーの可能性があると判断された。
以上3つの理由が、無料相談を断られる主な理由であると想定されます。
ちなみに、上記理由は、無料相談の場合に限らず、有料相談しか行っていない法律事務所の場合でも、同様に断られる可能性のある理由です。
弁護士事務所の無料相談は、基本、顧客誘引の手段として行われていますので、仕事の依頼に結びつかない相談は受け付けないとしても、何ら不思議ではありません。
電話口で相談内容を確認すれば、仕事の依頼につながる相談か、割にあう仕事かどうかはある程度判別できます。
無料相談は、法律問題に悩める全ての人々に門戸が開かれているわけではありません。
当然のことですが、市場原理によって、あなたの悩みはふるいにかけられているのです。
2 無料相談するなら公的機関がおすすめ
断られない無料相談を希望するのであれば、弁護士会、市役所、法テラスなど公的機関の実施している無料相談を利用するのをおすすめします。
公的機関の実施している無料相談は、担当弁護士には実施機関から相談料が支払われており、担当弁護士は無報酬で行っているのではありません。ですので、公的機関の無料相談は、もっぱら弁護士の顧客誘引目的で行ってわけではないので門前払いされることは原則としてありません。
ただし、定員オーバーになる可能性はあります。また、実施日が決められており、いつでも必要な時に利用できるわけでもありません。
まとめ
以上法律相談の意味などについて解説しました。以下、本記事のポイントをまとめたので参考にしてください。
- 法律相談は、健康診断のようなもの、法律相談受けただけでは、自分で事件を解決するのは困難。
- 法律事務所の無料相談は、集客目的で行っているので、門前払いされることもある。
- 無料相談は、公的機関の実施しているのがおすすめ。
- 法律相談前には、質問事項をリスト化したり、事件の概要をメモする、資料を揃えるなどきちんと準備してから臨むべし。
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