みなさんは、後遺障害診断書って知っていますか?
あまり聞きなれない言葉だと思います。
交通事故の被害にあい、後遺障害診断書を作成して提出した人でさえ、良く分からないまま、相手方の保険会社の担当者に促されるまま提出していることが少なくありません。
しかし、これは、結構、交通事故の損害請求のために、重要な書類なんです。
これの書き方次第では、示談金の額に100万円以上の差がつくことのあるものなんです。
そこで、今回は、後遺障害診断書について、弁護士の視点から解説します。交通事故でけがをして治療が終了したけど、いまだに症状が残っている方はこの記事を参考にしてください。
後遺障害診断書について
後遺障害診断書とは
後遺障害診断書は、交通事故でけがをした場合、治療が一通り終了した段階で、お医者さんに書いてもらう診断書です。
後遺障害診断書は、治療によってこれ以上症状が変わらない段階(症状固定)で、残った症状が後遺症に該当するかを判断するために書いてもらいます。
後遺障害診断書は、後遺障害等級を認定する上でかなり重要な書類です。
後遺障害診断書は、所定の書式(記事下の画像参照)があります。
後遺障害診断書を書いてもらえない場合 理由と対処法
治療が一段落して、担当医に後遺障害診断書の作成を依頼したら、色々理由をつけて書いてくれそうにない。このような相談もたまにあります。
後遺障害診断書を書いてもらえない場合、以下のような理由が考えられます。
- 担当医が、後遺障害診断書を書いたことがないので、書き方が分からない
- 等級認定されるほどの後遺症がなく、診断書を作成しても意味がないと判断された
- 治療がまだ終了しておらず(症状固定になっていない)、まだ後遺障害診断書を作成する段階ではないと判断された
- 単純に担当医が後遺障害診断書を書きたくないと考えている
以上のような理由が考えられますが、1の場合は、担当医に後遺障害診断書の書き方の資料を渡すなどして書いてもらうことが良いでしょう。後遺障害診断書の書き方は、市販の書籍やインターネットで解説されています。
2や3の理由の場合は、担当医からその旨の説明があると思います。
2の場合は、担当医が後遺障害診断書を作成しても意味がないと考えている以上、認定申請しても等級が出る可能性は低いと言わざるを得ませんが、100%無理と決定したわけではないので、作成してもらい等級申請することを検討してもよいかと思います。
3については、症状固定の時期がきたら、再度、担当医に作成の依頼をすればよいでしょう。
4の場合は非常に厄介です。診断書を書きたくないから拒否するなんてそんなことあるの?と思う方もいるかもしれませんが、色々理由をつけて書いてくれない医師は実際にいます。
そもそも、後遺障害診断書は、これ以上治療を継続しても改善しないということを証明する診断書ですから、医師としては、自分の治療技術の限界を告白するものと考えて、嫌う人もいるとか。
4の場合は、他の病院に転院して、別の医師に作成してもらうことも検討してもよいかもしれません。しかし、当初から治療しておらず、交通事故からかなりの期間が経過してからの転院だと、症状の経過が把握できないので、後遺障害診断書を書くことが出来ないと断れる場合もあります。これは、私が実際に依頼した事件であった内容です。
後遺障害診断書の作成上の注意点
後遺障害診断書の用紙に空欄や記載漏れ等により不十分な点があると、後遺障害等級が認定されない(非該当)要因となります。
後遺障害診断書の作成に慣れていない(書いたことがない)医者が担当医の場合、記載が不十分なせいで後遺障害等級が認定されない場合があります。
一度、自賠責で「非該当」との結果が出てしまうと、新たに後遺障害診断書を作成しなおした上で異議申し立てを行うことで、再審査を求めても、容易に挽回出来ないのが現状です。異議申し立てのハードルは極めて高いです。
最初が肝心ですので、作成してもらった後遺障害診断書の内容を提出する前に、記載漏れがないかよく確認することをお勧めします。自分でよく分からなければ、弁護士に相談に行くとよいでしょう。
比較的多く見かけるのは、「障害内容の憎悪・緩解の見通し」を記入する欄が空欄のものです。
ここは、後遺障害認定の上で重要な項目ですので空欄は、非常に不利になります。
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